
どうも、やまとです。
前回は運動エネルギーと仕事の関係、位置エネルギーと仕事の関係について学びました。この2つの関係を合わせると、さらに便利な考え方ができます。それが力学的エネルギー保存則です。


力学的エネルギーは運動エネルギーと位置エネルギーの和のことです。また、”保存”という言葉は物理では”一定に保たれる”という意味で使います。したがって「力学的エネルギー保存則とは、運動エネルギーと位置エネルギーが変化の前後で一定に保たれている」ということです。
例として自由落下について見てください。左の図には4か所の高さでの速度が書かれています。それぞれの位置で力学的エネルギーは真ん中の列のようになります。それをグラフ化したものが右の図です。力学的エネルギーが保存されているなら、どの場所においても力学的エネルギーは緑の矢印のところになるはずです。ではそれを数式で証明してみましょう。


自由落下では小球にはたらく力が重力のみで、この重力だけが仕事をします。つまり保存力だけが仕事をする現象です。したがって、エネルギーの原理の仕事の項は位置エネルギーの差で表すことができます。同じ添え字でまとめていくと、h1での力学的エネルギーとh2での力学的エネルギーが等しいという式を導くことができます。その他の場所でも同様ですから、すべての式を”=”でつなぐことができます。これをグラフにしたものが先ほどのグラフです。


次にばねにつながれた物体です。これを「水平ばね振り子」といいます。自然の長さからAだけ伸ばした点を初めとして、-Aの位置まで5か所を考えています。自然の長さを中心として対照的な運動をしています(これも本来は力学的エネルギー保存則から導きますが、ここではそのような現象になっているとして説明を簡略化しています)。つまりAと-Aの位置では物体は静止しており、xと-xの位置ではvの速さで運動しています。摩擦などがなければ、ばねは振動し続けますから、行きも帰りも同じ速さです。自然の長さでは最も速いVで運動しています。したがって、それぞれの位置での力学的エネルギーは右のようになります。


この物体には重力、垂直抗力、弾性力の3つの力がはたらきますが、仕事をするのは弾性力のみです。ですから、この場合も保存力だけが仕事をする現象です。A→x、x→自然長でエネルギーの原理の式を立て、弾性力のする仕事は位置エネルギーの差で表します。すると、すべての位置で力学的エネルギーが”=”で結ばれます。つまり、力学的エネルギーは保存されています。


まとめると、力学的エネルギーが保存する条件は”保存力だけが仕事をする現象である”と言えます。考えたい2つの位置を比較して、運動エネルギーと位置エネルギーの式を立てていけばいいのです。これは実際に運用してみればわかりますが、ものすごく便利な法則です。
次回はいくつかの具体例を示して、力学的エネルギー保存則を用いる問題を解いてみたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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