
どうも、やまとです。
物理基礎の力学もいよいよ大詰めになってきました。エネルギーの導入です。エネルギーという概念が成立していく歴史的な過程も興味深いですがそれはまた別の機会に譲るとして、ここではエネルギーと等価な量でありエネルギーの大元ともいうべき「仕事」について見ていきます。
仕事


まず、仕事の定義を押さえてください。仕事は”力の距離的効果”と言われます。力の向きと運動の向きが一致していることが重要です。仕事の単位はジュールです。ジュールは熱の実験をしたことで有名ですね。またあとから出てきます。
では以下の問いを見ていきます。


力と運動の方向がθの角度のときは、力の運動方向成分を取りだします。この場合はcos成分となります。(ベクトルを学んだ人には、力ベクトルと変位ベクトルの内積と言った方がより正しい表現となります)
また、力を加えても物体が動かなければ、仕事は0です。物理の仕事は、物体を動かすという結果がすべてです。(汗水鼻水垂らして頑張っても、動かなければ評価されません)
では、運動方向と力の方向が逆向きを向いていたらどうでしょう。摩擦力がはたらく場合などですが、物理では逆向きをマイナスで表現するんでした。つまり、摩擦力のする仕事は負ですね。
したがって、正の仕事をされた物体は運動が促進され、負の仕事をされた物体は運動が阻害されます。仕事が0ならば、運動に変化はありません。この結果は重要なことなので、しっかり頭に入れておいてください。


新しい量が出てきたら、グラフを描いてみましょう。これから考えていくのは、一定の力がはたらいている場合の仕事です。縦軸に力、横軸に変位をとればグラフの面積が仕事を表していることがわかります。
仕事の原理


では、いくつかの具体的な例で仕事を計算してみます。まず定滑車で物体を静かに持ち上げます。”静かに”というのは”力のつりあいを保って”という意味でした。つまり、ひもを引く力は重力とつりあっています。hだけ物体を持ちあげるにはひもをh引けばよいので、このときの仕事はmghですね。


物体を動滑車につけて動かします。動滑車は天井と人が物体の重力を分け合う形になるので、力が半分になります。その代わり、物体をhだけ持ちあげるには、ひも2本分の長さを引く必要があるので距離は2倍になります。この特徴を覚えておいてください。運動の問題でも出題されることがあります。
動滑車を使った場合の仕事を計算すれば…これも結局はmghです。どうやら、仕事の上では得をすることができないようです。


おまけでもう1つ。斜面上を動かす場合には重力のsin成分とつりあわせて持ち上げます。斜面の高さがhのときの斜辺の長さは、あまりこのように表したことがありませんね。でも、三角比をちゃんと考えれば求めることができますね。三角比はとにかくある1辺と角度がわかれば、どの辺の長さもわかるところに強みがあります。
仕事はやっぱりmghです。これでもう仕事で得をすることはできないことが確実です。これを”仕事の原理”といいます。大きな力を要するけれど短い距離で終えるか、小さな力で済むけれど長い距離を要するか…どちらがいいかは完全に好みの問題ですね。ちなみに私の高校にいくためには坂が2つあり、急だけど短い坂と緩やかだけど長い坂の2択でした笑(私は最初は緩やかな方を自転車で登っていましたが、3年になると急な方を自転車を押して登りました)
仕事率


単位時間当たりの仕事量を仕事率といいます。これは定義式ですから、仕事率の定義から作ってください。仕事率の単位はワットです。ワットは蒸気機関を改良した人として有名です。発明した人はニューコメンですよ。


仕事率の別表記として、「力と速度の積」があります。導出も簡単ですが、覚えておくと咄嗟のときに使えて便利です。極力式を暗記したくない人は、無理に覚える必要はありません。
力学の知識としても重要ではありますが、仕事率が真価を発揮するのは電磁気の分野です。電力の単位のワットと仕事率の単位のワットは同じものですから、電力は電気のした仕事の仕事率ということになります…あまり余計なことは言わないでおきましょう。
次回はいよいよエネルギー、どの分野でも使う重要な概念です。初めに言ったように、仕事はエネルギーの大元になる量です。2つがどのような関係にあるのか、ここが大切です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
コメント