波動現象は、力学現象とは大きく異なることがたくさんあります。 その1つが”重ね合わせの原理”です。球の衝突と波の衝突を比較してみましょう。

球の衝突では、衝突の前後で速度が変化します。それに対して波は衝突しても他の波に影響を与えません。これを”波の独立性”といいます。 重ね合わせの原理によって重なった部分の変位は単純な和になります。では重ね合わせの原理を練習してみます。

重なり合った部分の変位を足し算すると、赤のラインになります。このように、重ね合わせた波を”合成波”といいます。2秒のときの同じ向きの波は、重なった部分が平らになります。逆向きの波は傾きが急になります。3秒のときの同じ向きの波はすべての変位が2倍になっています。逆向きの波は変位していません。

左右に進む同じ波が重なるとき、各時刻の合成波はピンクの波形になります。この半周期の合成波を同じグラフに描くと一番下のようになり、常に媒質の他の部分より大きく振動する点と、まったく振動していない点があることがわかります。このように、合成波があたかも進行していないように見える波を”定常波”といい、大きく振動する点を腹、振動しない点を節といいます。定常波の波長や振動数は元の波と変わりませんが、振幅は2倍となります。また、図から腹と腹、節と節の間隔は波長の半分です。

水面上の2点を振動させると、水面全体に定常波が発生します。腹の点と節の点をプロットし、線でつないでいくと図のようになります。実際の水面上でもこのような縞模様(干渉縞)が見られます。お風呂でやってみてください。私はいくつになってもやってしまいます。
S1とS2を結んだ線上は腹と節が交互に現れますから、問題にもなりやすい部分です。では水面上のある点がどのような振動状態かを表すにはどうしたらよいでしょうか。

まず強めあう点の条件を求めていきます。ある点Pで強めあうときは、2つの波の位相は同じです。今、2つの波源から山の波形が出てきたとします。波は等速で進みますから、l2だけ離れた点は当然同じ位相です。したがって2つの経路差であるl1-l2だけ波が進んだときも同じ位相が出合えば強めあうということです。つまり波長の整数倍だけ波が含まれていれば、強めあいの条件となります。

次に打ち消しあう点の条件を求めていきます。ある点Pで打消しあうときは、2つの波の位相は逆です。2つの波源から山の波形が出てきたとすると、l2だけ離れた点が同じ位相なのは先ほどと同じです。したがって2つの経路差であるl1-l2だけ波が進んだときに逆の位相が出合えば打ち消しあうということです。つまり波長の整数倍に2分の1波長だけずれた波が含まれていれば、打消しあいの条件となります。
波の干渉は慣れないうちは難しいかもしれません。水面波の干渉から始まり、音波、光波でも干渉問題を考えていくことになりますから、ここでしっかりと押さえておきましょう。
最後まで見ていただき、ありがとうございました。
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