レンズと同様に像を作る素子として、鏡があります。作図によってできる像を求めるという特徴からレンズや鏡は”幾何光学”という分野で呼ばれます。まずは日常でもよく使う平面鏡を見てみましょう。

子どもの頃に誰しもが不思議に思うことの1つに、なぜ鏡は左右は反転するのに上下は反転しないのか?がありますね。ここでこのことについて詳しくは述べませんが、”左右を反転している”ということが間違いの元で、”前後を反転している”と考えればよいのです。


では球面鏡について見ていきましょう。レンズと同様に光が集まる点を焦点といい、球面鏡の中心を通る直線は主軸といいます。ここで考えている球面鏡は球の一部を切り取ったものですが、厳密に言えば球面には光が一点に集まる点はありません。少しずつずれてしまいます。放物面なら焦点が存在しますが、高校物理では球面鏡にも焦点があると近似しています。より精密な観測が必要な天文物理学の分野などでは、放物面鏡が使われます。
上の図の(a)(b)は凹面鏡の反射光線の経路、(c)(d)は凸面鏡の反射光線の経路を表しています。像を結ぶときの作図に必要なのはこれだけです。

では凹面鏡で実像ができるときの作図と写像公式です。①では 鏡面の中心を通る光と球面の中心を通る光で作図しています。緑の三角形の相似関係から物体と像の大きさの比をa、bで表します。
②では主軸に平行な光と球面の中心を通る光で作図しています。青の三角形の相似関係を使っていますが、ここでは球面で反射する光線が鏡面の中心Mを通る主軸に垂直な直線までやってくると近似しています。

①、②式からレンズの写像公式と同じ式を導くことができました。最後に赤の三角形の相似関係から、焦点距離と球の半径についての関係が得られます。
凹面鏡と凸面鏡がつくる虚像については省略しますが、同様に作図をして三角形の相似関係を使うと導出ができます。

レンズと球面鏡を合わせて、1つの写像公式と倍率の関係でまとめましょう。ルールをしっかり押さえて、そこから得られるbとmの結果を考えると凸レンズ・凹レンズ・凹面鏡・凸面鏡どのパターンにも対応できます。a、bの軸の向きとfの符号に注意をして使いましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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