物理 波動11 虹の原理

ふぃじっくす

どうも、やまとです。

虹の原理は、幾何学的に考えていくことで理解できます。少し難しいですが、センター試験や2次試験で題材になることもあるので、触れておきましょう。

虹はいつ、どのような方向に見えやすいか

虹は夕方の雨上がり、夕立の直後などに現れることが多いです。もちろん他の時間帯でも見ることはできますが、虹の発生頻度が高いのは夕方です。虹は太陽光が雨滴内で屈折と反射をすることによって生じますが、前方に雨が降っていて、背後から強い太陽光線が水平に近い角度で差し込むといった条件が整ったときに見られるからです。雨雲は西から東に移動することが多いので、雨が通り過ぎた直後で前方とは東ですから、その背後つまり西から日が差す時刻、したがって夕方、ということになります。
では、虹はどのくらいの角度に見えるのでしょうか。よく見えるのは主虹で、雨滴内で2回の屈折と1回の反射を起こした光線によって生じ、仰角約42°の方向に見えます。前回学んだように虹の外側は赤色、内側は紫色になり、「虹の7色」になります。このように色がつくのは、光の屈折率が光の色、波長によって違うためです。光が水滴に入射すると、水滴がプリズムの役割をしてすることでスペクトルに分かれるのでした。

わかりやすくするために、太陽光が水滴に水平に入射してくるときを考えています。このとき入射角をiとし、屈折角rの方向に屈折するとします。右側面で反射をし、左側面で再び屈折をして空気中に出ていきます。水滴の半径を2等辺とする三角形を考えると、入射光線と反射光線の延長線の交わる外側の三角形も、図のように角度を決めていくことができます。つまり、水平面から4r-2iの角度を見上げると水滴で分散したある特定の色が見えることになります。 この角度を入射角iだけで表すためには、逆三角関数を使う必要があるので下の式は発展になります。

屈折の法則から屈折角rを逆三角関数を使って表すと上のようになります。逆関数は簡単に言えば、関数fがxからyに対応させるものであるとき、fの逆関数f^-1はyからxに対応させる関数です。したがって、ある三角関数のラジアンを求めるときに使われるのです。sinの逆三角関数をarcsin(アークサイン)と書くこともあります。のちほどこの式を使ってグラフを描いてみます。

虹は1本じゃない

さらに条件の良いときには、主虹の外側にもう一本、やや色は薄いですが虹が見えることがあります。見たことはありますか?はっきりと見えることはなかなかないので、出ていたとしても知らないければ見過ごしてしまうかもしれません。私も実物は人生で2回しか見たことがないです。この虹を副虹といい、色の配置は主虹とは逆に外側が紫、内側が赤になっています。副虹は下の図のように、雨滴内で屈折を2回、反射を2回起こすことによって出来ます。

主虹よりも複雑ですが、水滴の半径を利用して2等辺三角形作るのは同じです。入射光線と反射光線、水滴の半径がつくる四角形の内角に着目し、入射光線と反射光線がなす角を求めるとπ-6r+2iとなります。これを逆三角関数を使って入射角iだけで表したのが下の式です。
主虹と副虹の反射角がわかったので、水の屈折率を1.33として入射角を0°~90°まで変化させたときのエクセルで計算し、グラフ化したものが下の図です。

42°という角度はどこから?

グラフは、入射光線と太陽光線の光軸方向から測った反射角の関係を表したものです。これが極大値もしくは極小値を持つ付近では、入射角が多少変化しても反射角はほとんど変化しません。ということは、この角度の方向からは他の角度からよりも相対的に多くの光がやって来ることになり、全体としてこの方向に強い反射光が見えることになります(グラフから、42°~51°のところで出てくる光はないので主虹と副虹の間は暗くなります。これをアレキサンダーの暗帯といいます)。これが虹です!太陽光線に対して、主虹では約42°、副虹では約51°の角をなす円弧(アーチ)状に見えます。
ちなみに、「虹の7色」というのは、ニュートンの虹の研究に由来する学校教育によるようです。太陽光は分散によって連続的に変化するスペクトルを表すことをニュートンは知っていましたが、当時”7”が神聖な数字として考えられていたからです。

その他の大気現象

不思議で美しい大気光学現象は他にもたくさんあります。発生原理も、虹と同じように屈折と分散によるものから、回折・干渉・散乱によるものまで様々です。興味のある人は調べてみみましょう!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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