
どうも、やまとです。
今回はこの分野が”熱力学”と言われる所以のお話です。気体分子の運動から、気体の圧力を導出していきます。力学で学んだことを思い出しながら進めていきましょう。また、少しだけ統計的な話も出てきます(大学では”熱・統計力学”とも呼ばれます)。


気体が容器の壁に及ぼす力は分子1個では小さいですが、容器内の分子すべてを考えると大きな値になります。具体的には、1molの気体(体積は22.4L)があれば6×10の23乗個もの分子があります。
今まで扱ってきたのは巨視的な量です。熱力学の状態量ともいいます。圧力・温度・体積が、分子の速度や質量などの微視的な量とどのような関係にあるのかを見ていきます。


体積Vの箱の中に理想気体をいれます。N個の分子がそれぞれの方向に運動していますが、とりあえず分子1個に着目してみます。さらに3次元空間でx、y、z方向を考えますが、まずは1方向だけの運動に分解します。


① 気体分子が壁と衝突するときは、弾性衝突するとします。運動量と力積の関係は覚えていますか?x方向の分子の運動量の変化が、分子が壁から受ける力積に等しいということから、壁Sが分子から受ける力積を計算します。


② t秒間を考え、分子と壁の衝突回数を求めます。分子は3次元の運動をしていますが、オレンジ、黄色、緑、青のx方向の矢印の長さは2Lですね。これだけ進むと1回衝突するので、t秒間に進んだ距離を2Lで割ると衝突回数が求まります。
③ ①で計算した壁が受ける力積は1回の衝突ですからこれに②で計算した衝突回数を掛けます。
④ さらに全分子に拡張するために分子数Nを掛けます。このとき分子の速度は分子それぞで異なるので、その平均をとっておきます。


⑤ 力積の定義から、壁が受けた力を求めます。
⑥ 力がわかれば、面積で割ることで圧力が出せますね!ここで、x方向だけに限定していた向きを3次元に戻します。そのために、3次元の三平方の定理から分子の速度の2乗の平均値を出します。さらに、どの分子も様々な方向に不規則な運動をしているので、x、y、z方向の速度の2乗の平均値は等しいと考えます。この性質を分子の等方性といいます。この部分が統計的な処理ですね。あまり難しく考えなくても、これでx方向だけ考えていたものを3次元に戻すことができました。最終的に体積をVで表せば☆式のようになります。
この一連の流れがそのまま、空欄補充問題などで入試に問われることが多いです。力学の知識と速度の2乗平均などの処理を押さえて、導けるようにしておきましょう。次回は気体分子運動から導かれた圧力の式をさらに変形して、気体分子の運動エネルギーについて考えていきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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