
どうも、やまとです。
今回は発展的な内容について触れていきます。断熱変化におけるポアソンの式の成立条件についてです。


断熱自由膨張とは、簡単に言うと「密閉された気体の真空への拡散」です。このとき、断熱変化の各瞬間において理想気体の状態方程式が成立しません(したがって、ポアソンの式も成立しません)。ポアソンの式は、系が熱力学的平衡状態を保ったまま、ある状態から別の状態に変化する過程で成り立つ式です(これを”準静的過程”といいます)。これらの違いについて見ていきましょう。


AとBの図を見てください。最終的にV0の2つの部屋に気体が存在していますが、Aはバルブを開放して一気に変化させ、Bは初めからバルブを開放してゆっくりと変化させます。
始状態における状態方程式はP0V0=nRT0…☆と書けます。


Aの変化が断熱自由膨張です。このとき、気体の温度変化は0になり、圧力は元の半分になります。この結果は、直観的には理解が難しいですね。


Bの変化はポアソンの式が成立する条件を満たす変化です。圧力と温度を求めると上のようになります。γ乗の計算が少し面倒ですね。


ポアソンの式をまとめると上のようになります。ポアソンの式そのものは、問題の中で与えられることが多いです。むしろ断熱自由膨張ではポアソンの式が成り立たないということを忘れがちですから、成立条件を整理しておきましょう。
最後にオマケとして、ポアソンの式の導出について触れておきます。


①式はいわゆる微分方程式になっているので、これを解くためには少し高度な数学の知識を要します。1つずつ確認しながら、丁寧に見ていきましょう。



教科書の公式がどのようにして導出されるのか、私は高校の頃に気になって仕方がありませんでした。これを自分で一から示していくのは難しいですが、使っている知識は数Ⅲまでの数学の知識なので十分理解できます。少し苦労をして証明をしていくと、感動を覚えたものです。皆さんも是非、時間のあるときには公式の導出にも触れてみてくださいね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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