どうも、やまとです。
ここまで扱っていた静電気の現象は電子やイオンの分布の仕方によって生じます。電気回路においては電子やイオンの移動によって電流が流れます。

電流は正の電荷が移動する向きに、単位時間当たりに導体断面を通過する電気量で定義することにします。回路中では負の電荷を持った自由電子が移動するので電子の向きと電流の向きは逆向きなことに注意しましょう。

金属に同じ電圧を加えたときの電流の値は、金属によって異なります。これを詳しく調べたのがオームです。VとIは比例関係にあり、この比例定数Rを電気抵抗といいます。

電気回路は水の流れで例えられます。電源は水位差(電位差)を作るポンプの役割です。水は高いところから低いところに流れていきますが、下りの管の長さが抵抗の大きさに対応します。したがって、管の長さが等しければ傾きが大きいほど水位差が大きくなり、水流が速くなります。つまり電位差が大きくなり、電流が大きくなります。
抵抗を通ることで電位が下がることを”電圧降下”といいます。オームの法則で表されているVはこのことだと理解しておくと回路の問題を考えるときに便利です。

水流モデルで考えるとわかるように、管が長ければ水は流れにくく、管が広ければ流れやすくなります。したがって抵抗値も長さに比例し、面積に反比例します。この比例定数を抵抗率といいます。
また、電流が流れると導体の抵抗は温度が上がり、温度が上がると抵抗値が上がります。これは導体中の陽イオンの熱運動が活発になるためです。したがって抵抗率は温度に依存する量として表すことができ、電球などでは温度上昇による抵抗率の変化が無視できないのでオームの法則には従いません。このような抵抗を非直線(線形)抵抗といいます。

導体に発生する熱は、ジュールによって研究されました。これをジュールの法則といいます。このジュール熱は電流がした仕事によって発生したものなので、同じ式で表すことができます。この仕事量を電力量といい、この仕事率を電力といいます。用語がややこしいので気を付けましょう。電力は電圧と電流の積で表すことができます。 これをオームの法則で書き換えれば3通りに表すことができます。
また、電力量の時間の単位は秒ですが、実生活では時間単位の方が扱いやすいのでWh(ワット時)という単位で表すことがあります。

熱力学で気体分子の運動論から圧力を考えたのと同じように、電気現象も電子の運動論から考えることができます。導体中の単位体積当たりに電子がn個あるとすると、ある断面Aを単位時間あたりに通過する電子はvtSの体積の中にいる電子です。電子1個はeの電荷を持っているのでeNの電気量になるので、電流はenvSで表されます。

電気抵抗は電子が電場から受ける力と陽イオンから受ける抵抗力がつりあっているいるときに一定の電流が流れていることから求めます。力のつりあいから電子の速さを求め、(1)の結果と組み合わせてオームの法則と比較すると、長さに比例し、面積に反比例する電気抵抗が導出できます。

電子が電場からされる仕事は、(2)のF1を使って表すことができます。導体中にある全電子はnSlですから、全電子がされる仕事を計算するとVItとなることが分かります。電力量とジュール熱の関係から、ジュール熱もVItで表されます。
電子運動論は2次試験でよく出題されますから、この流れを押さえておきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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