どうも、やまとです。
電磁気の分野もいよいよ大詰めです。”交流理論”は数学的に難しい部分もありますが、今までの知識を総動員して理解していきましょう。微積分を学ぶとより理解しやすくなります。向きや大きさが常に変化する交流は、どのように発生するのでしょうか。

図のようなコイルが軸を中心に回転し、コイルの両端はすべり環Cにつながり、ブラシBを経て外部回路の負荷抵抗(電球など)に接続されています。左向きに一様な磁場の中で、コイルを等速で回転させると、コイルには周期的に変化する誘導起電力が発生します。
コイルを貫く左向きの磁束は、どちらの図でも減少する向きになります。するとコイルには左向きの磁場を生じるように誘導電流を流します。左の図では辺アイ、辺ウエが図の向きの電池として、右の図では辺エウ、辺イアが図の向きの電池として振る舞うので、半回転ごとに誘導起電力の向きが変わります。

磁場を横切る導線に生じる誘導起電力から、それぞれの辺に生じる誘導起電力が求まります。図の赤のエリアにいるときは左向きの磁場を生じるように、青のエリアにいるときは右向きの磁場を生じるように誘導電流が流れます。

交流電圧を具体的に求めると、上のようになります。簡単のために最大値をV0としておきますが、この導出そのものが出題されることもあります。sin関数として表されるので、向きや大きさが時刻とともに変化することが分かります。
また、コイルの回転の角速度は交流の角周波数となり、周期や周波数を求めることができます。東日本では50Hz、西日本は60Hzの交流が発電されており、これは東日本がドイツ製の機器を、西日本がアメリカ製の機器を導入したことによる違いです。

コイルを貫く磁束に着目して、交流電圧の式を導出してみましょう。コイルがアエの向きに縦になっているときをスタートとします。このとき磁束が最大になっています。コイルの回転角とともに磁束は減り、90°回転したときに0、そこからは逆向きに増えていきます。したがって磁束はcos関数で表されます。
磁束の時間変化は、数学的には磁束の時間微分として表されます。これは緑のグラフの傾きのことです。したがってーsin型の青いグラフになります。誘導起電力は磁束の時間変化にマイナスをつけたものなので、sin型になり先ほどの式が導出できます。微分を利用するとだいぶ楽ができます

時刻とともに変化する交流ですが、家庭で使っている交流電圧の値は”100V”です。この値はどこから出てきたのでしょうか。
直流であれば時間の変化で電圧・電流の値は変化しないので、電力も変化しません。交流の場合は電圧も電流もsin関数で表されます。したがって電力は、sin2乗の関数となり、グラフは図のようになります。

オレンジのグラフは1/2V0I0を中心として上下に対称なグラフです。つまり電力の時間平均をとるとこの値となります。この係数を電圧と電流に均等に割り振ったものを、”交流の実効値”といいます。
実効値を使えばオームの法則や電力計算を直流と同じようにすることができます。つまり最大値の√2分の1倍電圧や電流が、直流のようにかかっていると考えていることになります。

交流電力はsin2乗の関数です。このグラフの形は覚えておきましょう。計算によって導出するときは三角関数の公式を使って、変形をしていきます。するとcosの2倍角が出てくるので、この平均値は0になります。
次回は交流電源に抵抗・コイル・コンデンサーを接続した、交流回路について見ていきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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