物理 電磁気15 ローレンツ力

ふぃじっくす

どうも、やまとです。

ここまで電流が磁場から受ける力について、詳しく見てきました。電流の正体は電子の流れでした。これはつまり、電子が力を受けているということです。

上の図のような装置を電気ブランコといいます。フレミング左手の法則を適用すると、導体には右向きの力がはたらきます。ミクロな視点で見ると、電子が右向きに力を受けており、その総和が電流が磁場から受ける力であると考えられます。

この電子が磁場から受ける力がローレンツ力です。

電流を電子モデルで考えたときの表現を使って、電流が磁場から受ける力Fを表します。導体中の電子の総数Nは、電子密度に体積を掛けて計算できます。ローレンツ力は電子1個が受ける力ですから、FをNで割れば求められます。

これを、一般の荷電粒子に拡張したものをローレンツ力の式とします。正の電荷であればフレミングの法則をそのまま使えますが、電子のように負の電荷をもつ粒子はその速度と逆向きに中指を向けることを忘れないようにしましょう!

ローレンツ力を受ける荷電粒子は、磁場に垂直な平面内で等速円運動をします。ローレンツ力を向心力として運動方程式を立て、円運動の半径を求めます。速さが大きいほどその半径は大きくなることがわかります。

円運動の周期は円周を速さで割ることで求められますから、先ほどの半径を代入すると速さの項がキャンセルされます。つまり比電荷が等しい粒子は同じ周期で円運動することになります。荷電粒子の運動を制御する上で大切なことなので押さえておきましょう。

荷電粒子が磁場に斜めに入射すると、磁場に垂直な方向には円運動をし、磁場に平行な方向には等速直線運動をします。これは螺旋運動です。3次元的な処理が必要になるので難易度が高くなり、2次試験でよく出題されます。

荷電粒子がローレンツ力を受けて起こる現象の1つに、ホール効果があります。電流の流れている導体に磁場をかけることで電子が導体のある面に偏り、電場が生じます。

電子は電場からはクーロン力を受けるので、やがて元通りまっすぐ進みます。力のつりあいから電場と磁場の関係式が得られます。この式に関わる電子の速さを、電流の電子モデルで表現し、電位差の式からホール電圧を求めることができます。

ホール効果を利用して、未知の磁束密度や導体中の自由電子の密度、電流の担い手の粒子(キャリア)の電荷の正負などを測定することができます。

原子核や素粒子の実験では、高エネルギーの荷電粒子を衝突させる必要があります。荷電粒子を任意の速さに加速するための装置が加速器です。

一定の磁場内で円運動をさせ、電極を移るときの電位差から加速させるのがサイクロトロンです。この装置では速さが大きくなると半径が大きくなります。

一定の軌道で加速させるのがベータトロンです。磁場を変化させることで誘導起電力を発生させ、それによって変動する電場で荷電粒子を加速させます。癌治療の装置としての利用がありますが、あまり普及しませんでした。

写真:Wikipedia,scienceblogs

もっとも高いエネルギーに加速できるシンクロトロンはLHCという加速器です。写真で見てわかるように、全周は27kmもあります。陽子を7TeV(テラ電子ボルト、T:10の12乗)まで加速でき、正面衝突させればその倍のエネルギーで衝突することになります。eVという単位は、原子分野で使われるエネルギーの単位です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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