物理 電磁気13 電流が磁場から受ける力

ふぃじっくす

どうも、やまとです。

前回は電流がつくる磁場について学びました。ならば逆に、磁場の中の電流は力を受けるのではないか、というのが今回の話です。

電流が磁場から受ける力の大きさは、上のようになります。これは実験式なので、覚えてしまいましょう。定数として”透磁率”を設定します。この値が磁気力に関するクーロンの比例定数と同様に複雑な値になっていますが、今はとりあえず置いておきましょう。

向きはフレミング左手の法則によって決定します。左手の 中指・人差し指・親指 を互いに直交するようにして、電流・磁場・力に対応させます。電・磁・力で忘れません!

電流と磁場が直交しているときの例です。フレミング左手則を使うと、下向きに力がはたらくことがわかります。電流と磁場と力は3次元的に交差するので、2次元で考えるときには丸に×を描くと手前から奥に向かう向き、丸に・を描くと奥から手前に向かう向きを表します。

これは右ねじだけで考えることもできます。電流が作る磁場を考え外部磁場と同じ向きだと強めあい、逆向きだと打ち消しあい、力の向きを決定できます。たまに気づかないうちにフレミングの法則で右手を使っている人がいます!気を付けましょう。

磁場と電流が角θをなすときには磁場に直交する電流の成分を考えます。傾いた分だけ、力が小さくなり、θ→0、つまり磁場と電流が平行になるとF→0となることもわかりますね。

電流が磁場から受ける力を考えるときμHの項が常に出てきます。これをBで表し、”磁束密度”と呼ぶことにします。空間や物質の性質を含めた”磁場”と考えられるので、磁束密度のことも単に磁場と呼ぶことがあります。

磁束密度を使うとスッキリと表せますね。この順番が実は重要で、高校ではあまり意識せずに「力はBIl(ビル)!」なんて語呂合わせで覚えたりもしますが、本質からずれてしまうのであまりよくありません。この点は別の記事で解説します。

磁場Hと磁束密度Bのイメージです。”磁束密度”ですから面積を掛けることによって、”磁束”を求めることができます。ただし、磁力線と磁束線が決定的に異なるのは、磁力線はN極から出てS極に入るのに対し、磁束線は湧き出しや吸い込みがなく、ループするということです。

また、ソレノイドコイルに鉄心を入れて強い電磁石を作ることがありますが、磁場の強さは単位長さ当たりの巻き数と電流の大きさで決まるので磁力線の本数には変化がありません。磁束密度は磁場に透磁率を掛け合わせたものですから、鉄の透磁率の分だけ磁束線は増加します。

2本の平行電流にはたらく力を考えてみましょう。Pに流れる電流I1がQの位置に作る磁場を求めると、長さlの部分が受ける力の大きさが分かります。同様にQに流れる電流I2がPの位置に作る磁場を求めると、Pにはたらく力が分かります。これらの力は同じ大きさになり、互いに引力を及ぼします。逆向きの電流だと斥力になります。

2020年のセンター試験には、この周囲にできる磁力線の様子が出題されました。磁極周りの磁力線とは異なり、導線を中心に回転する磁力線を選択する問題でしたが、受験生には見慣れない形で差が出た問題だったと思います。

平行電流が及ぼしあう力は、電流の定義式と考えることができるのは重要なことです。力と長さという力学で明確に定義された量で構成されていますから、あとは透磁率をどうするかです。

冒頭で見たように真空の透磁率は4π×10の-7乗という値でした。定数は自由に決められるはずですが、なぜこのような値にしたのでしょうか。電磁気の定数や単位の複雑さは、電磁気という分野の本質的な部分を孕んでいます。ここでは長くなるのでまた別の機会に。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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