
どうも、やまとです。
今回は発展内容です。難関大の入試問題によく出題されますから、志望校の出題内容に合わせて学んでください。重心と運動量保存則から考えていきます。


図のように等速直線運動をしている2物体の重心を考えます。重心がΔt秒間で進んだ距離を、重心公式のそれぞれの座標の項に足します。重心の速度はΔt秒後の重心座標から初めの重心座標の差を取り、Δtで割ればいいですね!


2物体が衝突したとき、水平方向には内力だけがはたらくので2物体の運動量の和は保存されていますから、衝突の前後で重心の速度は変化しないということになります。つまり、衝突の前後で重心は等速直線運動をし続けます。一見、複雑な運動も重心の運動を考えることで単純な運動にすることができるということです。この考え方は鉛直方向の運動や、放物運動に拡張することもできます。


では2次元の場合にはどうなるでしょうか。図はm1:m2=2:3の場合の、2次元の衝突における重心の運動を表しています。重心は小球1と2を結ぶ線分を3:2に内分する点です。2球の重心位置は常に3:2を保ちながら等間隔に並ぶので、重心は等速直線運動をすることになります。
では、過去の東京大学の入試問題から、重心速度を考える例題を見てみましょう。



どのような問題であっても、まずは題意をつかんで簡単な絵を描くことです。実際の問題は初めの状態(高さhに2球が固定されている状態)しか描いてありません。それぞれの小球は自由落下をしますから、質量に関わらず一体となって落下していきます。 床で小球1と2が衝突した後、2は静止していますから、(1)は小球2の速度を0として、重心の速度を考えればよいことになります。


(2)は非常に親切に問題を設定してくれていますね。というか、糸がたるむことは考えればわかるにしても、張力が生じる前後の力学的エネルギーが保存していることは、簡単にはわかりません!このように複雑すぎる現象の場合には、考え方を示してくれている問題があります。そのときには素直にそれに乗っかりましょう。
したがって、糸の張力が内力となっていますから運動量保存則が成り立ち、問題の指示にしたがって力学的エネルギー保存則を立てます。この2つの式からu1、u2が求まります。


小球1は負の向き(鉛直下向き)になりました。つまり、小球2を浮き上がらせた瞬間に下向きの運動に変化しています(だから糸がたるむんですね)。
(3)は (1)、(2)を利用しながら、それぞれの運動を解析してグラフを描きます。小球1と2の運動はt=0を境にして劇的に変化しますから、断続的な運動になります。重心速度は少し難しいですが、u1、u2を時間の関数で表すと導くことができます。


実際にはグラフが5つ与えられて正しいものを選択する問題でしたから、ここまで詳しく求める必要なありませんでした。グラフの選択問題はセンター試験でも(2021年度以降の大学共通試験でも)出題されるでしょう。そのときに大切なのは、”なんとなく”選ばないことや”みたことがある”グラフを選ばないことです。定性的に考えて短時間で答えを導く方法と、定量的に考えてグラフが表す式を導く方法を合わせられるといいですね!
今回は少し難しい問題に触れてみました。このような問題も経験しておくと、様々な考え方が得られて経験値が上昇します。良い大学入試問題は1問きちんと解くだけでかなりの学びになりますから、積極的に演習に取り入れてみてください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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