
どうも、やまとです。
剛体にはたらく力は作用点によって、並進運動や回転運動をすることがわかりました。では、剛体にいくつか力がはたらく場合の合力はどのように考えていけばいいでしょうか。


並行ではない力の場合は、質点の場合と同様です。作用線上を平行移動させることはできますから、始点を合わせて平行四辺形を作ればいいのです。問題になるのは、平行な力の場合です。力が平行ならば、作用線をどれだけ延長しても交わることがありません。平行四辺形をつくれないのです。ポイントはどこで支えることができるかです。


棒の両端に2つの平行な力がはたらいています。この棒は、2つの力の間のどこか1点で支えることができるはずです。支えることができる点は、力のモーメントがつりあっていますから、力のモーメントのつり合いの式を立てます。問題を解くだけならこれでいいのですが、少し式変形をしてみましょう。分数の形、比の形、力のモーメントのつりあいの式も含めて、これらの式は同値です。特に分数表記で比を表す方法は、慣れるまでは計算が楽になるのでぜひ使っていきたいですね。
この式を言葉で表現すると”合力の作用線は、線分を力の逆比に内分する点を通る”となります。力のモーメントをつりあわせるためには、支える点は大きい方の力に寄ると考えればわかりやすいですね。


同様に、並行で逆向きの力です。先ほどのように力のモーメントのつりあいを考えると、 支える点は大きい方の力に寄ります。今の場合はF1側です。ここを回転軸として力のモーメントのつり合いの式を立てれば…同じ向きの場合と同じ式になりました。式変形も同様ですからこれは、 ”合力の作用線は、線分を力の逆比に外分する点を通る”といえますね。内分点に比べるとわかりにくいかもしれませんが、どこで支えることができるかを考えましょう。


最後に偶力について触れておきます。並行で逆向きにはたらく力は、同じ大きさの場合には合成ができません。なぜなら、線分を1:1に外分する点は、存在しないからです。このような力は2力で1対と考えて、偶力と呼びます。偶力の特徴は物体に対して、回転運動のみを与えるということです。偶力のモーメントの式のl(エル)は力のモーメントのうでの長さとは違って、力のはたらく位置の距離なので注意しましょう。スピーカーの音量調節などをするときに指を互い違いにかけて捻る動作は、まさに偶力を利用していますね。
「物体をどの点で支えることができるか」ということは、物体の”重心”の考えにつながっていきます。次回はこの重心について学んでいきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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