
どうも、やまとです。
力学の解説はこの記事で最後になります。万有引力と重力の関係、万有引力による位置エネルギーについて見ていきましょう。


重心の考え方と同様に、地球の重力は地球の全質量が地球の中心に集まったときに及ぼす万有引力に等しいと考えます。ここで、地球上の観測者から見ると地球が自転をしている影響を受けて、物体には慣性力として遠心力がはたらきます。


回転軸上では遠心力はありませんが、緯度によって遠心力の大きさは変わります。赤道上が最も遠心力が大きく、物体にはたらく重力は小さくなります。 しかし、遠心力の影響はほとんどないと考えてよい大きさなので、地球上の物体の重力の大きさと万有引力の大きさは等しいと考えます。この式から万有引力定数と重力加速度の変換公式を得ることができます。万有引力定数や地球の質量が与えられていない問題では、この関係で式を書き変えます。


万有引力は保存力なので、位置エネルギーを考えることができます。重力と弾性力について復習をしておくと、物体がされた仕事の分だけ位置エネルギーを蓄えるのでした。それはF-xグラフの面積で表されます。万有引力の法則から、質量Mの地球からrだけ離れた位置で物体が受ける万有引力のグラフは上のようになります。rの2乗に反比例する形なので無限遠方を基準にするとそこでの万有引力は0にできます。rの位置における位置エネルギーはグラフの緑の面積ですが、これを求めることは難しいですね。万有引力による位置エネルギーは覚えてしまいましょう。ただ、なぜマイナスがつくのか、無限遠を基準とするのかは初めは誰もが疑問に思うことです。このあたりは導出を積分計算で求めることで解消できると思います。


物体を無限遠方から地球からrの位置まで移動させるのに必要な仕事は運動の向きと外力の向きが逆なので負の仕事になります。これとエネルギー保存則から、万有引力による位置エネルギーが負の値になることがわかります。少しややこしいですが、数学Ⅲまで学べばこの式の導出ができるので物理を理解するためにも数学の勉強は怠らずにしていきましょう。
最後に、第1宇宙速度と第2宇宙速度の問題を解いてみましょう。


地球の表面を等速円運動するために必要な速度を第1宇宙速度といいます。第1宇宙速度から第2宇宙速度までの間で打ち出されたものは、その地点を近地点とした楕円軌道に入ります。地球の自転と同期させて地球上から見るとある1点に静止しているように見えるものを静止衛星といいます。


打ち上げられた人工衛星が地球に戻って来ず、太陽の衛星となる速度を第2宇宙速度といいます。これは地球の重力を振り切って無限遠方に飛んでいくと考えます。さらに、太陽の重力も振り切る速度が第3宇宙速度で、およそ16.7km/sです。
これで、高校物理の力学分野の内容はすべて終わりました。しかし受験問題を解くときには、さらに様々なことを考えなければなりませんから演習が必ず必要です。実際の受験問題も少しずつUPしていけたらと考えています。
力学は他のどの分野にとっても土台となる重要な分野です。物理基礎から物理までの力学の内容をしっかり押さえて、次の分野に進んでいきましょう!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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