
どうも、やまとです。
ここからは、『物理』の力学の内容について見ていきましょう。『物理基礎』が主に一直線上の運動についてだったのに対して、『物理』では2次元・3次元に拡張されます。そのためには、数学の知識として”ベクトル”をより明確に意識していく必要があります。実際の問題では、1次元に落として計算をしやすくしますが、数式の表現をベクトルでしていくほうがスッキリして見やすいためです。まずはそのための準備として、変位・速度・加速度について復習し、ベクトル表記にしていきます。


まず、数学用語としてベクトルとスカラーの確認です。高校物理では難しい演算はありません。というか、私はベクトルの演算は基本的に足し算だけで行っていきます。
平面上の位置を表すベクトルを位置ベクトルといいます。物体がどこからどこへ移動したのかを表すのが変位でしたから、この変位を位置ベクトルを使って表したものが変位ベクトルです。変化量を計算するためには”終わりから初めを引く”というのが鉄則ですが、ベクトルの引き算は間違えやすいのです。お恥ずかしい話、私自身が高校のときにベクトルの引き算で躓いたのです。そこで編み出した技が、”マイナスを足す”という方法でした。ベクトルの足し算の作図による方法は、”始点→終点→始点→終点…とたどっていき初めと終わりを結ぶ”のでした。マイナスを足す方法だと、向きを間違えることはありません!苦手な方はぜひ、この方法でやってみてください。


速度とは単位時間あたりの変位のことでした。変位ベクトルを使えば、速度ベクトルを考えることができます。図を描けば、変位の向きと速度の向きが一致していることがわかります。これは、ある時間での平均の速度と呼ばれるものですが、時間を限りなく小さくしていけば、瞬間の速度を求めることができます。このときQは運動の経路に沿って限りなくPに近づくので、Pでの瞬間の速度の方向は、運動の経路のPにおける接線方向となります。


動いているものの中で動くものを外部から見るとき、速度の合成を考えることができます。船とねずみはそれぞれ別の運動をしていますが、この運動を船の上空から眺めるとねずみの速度の方向は実線の青いベクトルの向きになります。これが2次元の合成速度です。


合成とは逆に、速度を2方向に分けることを速度の分解と言いました。特に直交する2方向に分解すればそれぞれの方向の運動を考えることができるので、次元を落として現象を簡単に考えることができます。『物理基礎』の発展として水平投射や斜方投射の記事がありますので、そちらも参照してくださいね。


2物体が別々の運動をしているとき、片方の物体からもう一方を見たときの速度を相対速度と言いました。相対速度の考え方は、複雑な設定の問題を解いていくときには必須です。方法は1次元のときと同様に、主体として考えている物体を止める向きに地面を動かし、その地面の速度ベクトルと相手の速度ベクトルを合成すればいいのです。


加速度は単位時間あたりの速度変化で表すのでした。速度変化ベクトルを使えば、加速度ベクトルを考えることができます。作図をすれば、速度変化の向きと加速度の向きが一致していることがわかります。『物理基礎』では加速度が一定の運動だけを考えてきました。加速度が変化するような運動には例えば振り子運動がありますが、エネルギーを考えることで加速度を回避していました。『物理』では振り子や円運動といった、加速度が変化する場合も考えていきます。ベクトル量が”変化”するということは、大きさが一定でも向きが変わればベクトル量としては変化していることに注意しましょう。振り子や円運動は刻一刻と加速度が変化する運動なのです。順番にきちんと理解していけば、そのような複雑な運動も解析することができるようになるのが、物理の面白いところです!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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