物理 原子8 半導体 

ふぃじっくす

どうも、やまとです。

半導体は、電気の通しやすさが”導体と不導体の中間”という意味です。”中間”というのがよくわからないと思いますが、半導体は現代の電子技術に欠かせない存在の電気素子です。

最近の教科書では電気回路の最後の方に掲載されていますが、少し踏み込んだ理解をするには電子のふるまいが重要なので、原子分野としました。半導体の性質とその利用について見ていきましょう!

まず、固体には結晶と非結晶(アモルファス)があります。結晶は原子が規則正しく並んで、周期性があるものです。原子が結晶構造をとると、エネルギー準位が連続的に分布し、これが電気伝導性に関わってきます。

電気分野で学んだように、導体は温度の上昇によって抵抗率が増加します。これは、原子の振動が電子の運動を妨げるためでした。半導体の場合は全く逆で、温度上昇によって抵抗率が減少し、電流が流れやすくなります。

抵抗率の復習

水素原子のスペクトルで学んだように、エネルギー準位はとびとびの値をとります(図1ー①)。多数の原子が集まって結晶をつくると、近接したエネルギー準位からなる群をつくります。 (図1-②)。これをエネルギーバンドといいます。バンドの間にはエネルギー準位が存在しない領域があり、これを禁止帯(禁制帯)といいます。

導体・不導体・半導体はそれぞれ図2のような構造をしています。

導体は電子が詰まっている最も高いエネルギーバンドに、まだエネルギー準位の空席があります。このエネルギーバンドを伝導帯といい、これに属する電子は自由電子です。

不導体はエネルギー準位の空席がないので、自由に動くことができません。このエネルギーバンドを充満帯といいます。

半導体は充満帯と伝導帯のエネルギーギャップが比較的小さく、熱運動によって電子が伝導帯に上がり、電子が飛び出したあとにはホールができます。温度上昇によって電気が流れやすくなる理由です。

シリコンやゲルマニウムを真性半導体といいます。そこにリンやアルミニウムのような不純物を入れる(ドープ)すると真性半導体に比べて、電気を通しやすくなります。これを不純物半導体といい、電流の担い手(キャリア)によってn型とp型に分けられます。

シリコンやゲルマニウムは価電子4です。価電子は最外殻電子の数で、原子の結合に関わるものです。①ではシリコンの結晶にリンを混ぜました。リンの価電子は5なので電子が1つ余ります。これが電流の担い手(キャリア)となります。

②ではアルミニウムを混ぜます。アルミニウムは価電子3なので、シリコンとの結合には電子が1つ足りません。これがホール(正孔)となります。電場を与えれば、共有結合している電子がホールを埋めるように動き、ホールが電場の向きに動いていきます。つまりホールは正の電荷を持つ粒子のようにふるまうのです。

p型半導体とn型半導体を接合し、両端に電極を付けたものを半導体ダイオードといいます。これは一方向のみに電流を流す作用(整流作用)を持つ電気素子です。

(a)のように電池を接続すると、ダイオードには右向きの電場が生じます。電子は電場とは逆向きの力を受けるので左向きに移動します。電子が左向きに移動すると、p型のホールは右向きに動きますね。

ホールと電子は接合面付近で再結合して消えます。その一方で、電極からは新たにキャリアが供給されるので電流が流れ続けます。この電圧の加え方を順方向といいます。

(b)の場合には電子が右向き、ホールが左向きに移動します。接合面付近ではp型はホール不足で負に、n型は電子不足で正に帯電し、電位差が生じますが電流は流れませんから、これを逆方向といいます。

ダイオードに交流電源を接続してみましょう。AB間の電圧は上のグラフのようになります。CD間には逆方向の電流は流れないので、電圧は順方向のみ取り出せます。電圧のグラフを抵抗値Rで割れば、電流の波形と考えることもできます。これがダイオードの整流作用です。

半導体に光が当たると、光電効果が起こり、電子の移動が生じます。これを利用したのが太陽電池です。接合面に光を当てると電子とホールの対ができ、電子はn型、ホールはp型へ引き寄せられます。これによって電圧が生じ、外部負荷に電流が流れます。

より詳しくはフェルミ準位、内臓電位ということを考えなければならないので、ここまでにしておきましょう。

これを逆に利用したのが発光ダイオード(LED(light emitting diode))です。ヒ化ガリウムのような半導体のpn接合に順方向の電圧を加えると、キャリアが再結合するときに光を発します。

エネルギーの変換に着目すると、太陽電池は光エネルギーを電気エネルギーに、LEDは電気エネルギーを光エネルギーに変換する素子ということですね。

テレビや携帯電話などは、非常に弱い電気信号を受信します。これを便利に使うためには、微弱な電気信号を大きくする必要があります。トランジスタは増幅作用によって、電気信号を増幅します。

図のように3つの不純物半導体を組み合わせたものをバイポーラトランジスタといいます。構造によってnpn型、pnp型があり、構成する3つの部分をベースB、エミッタE、コレクタCといいます。

なんだかよくわからないと思うので、英単語の意味と一緒に覚えるとわかりやすいです。npn型トランジスタとは「ベース電流を土台(base)とし、エミッタが放出(emit)した電子を、コレクタが受け取る(collect)」ような素子です。

npn型について見てみましょう。コレクターベース間にのみ電圧をかけても、逆方向となり電流は流れません。ところが、エミッターベース間に順方向の電圧を加えると、エミッタからベースにキャリアである電子が流れ込みます。

接合部では電子とホールの再結合がありますが、数µmという薄い幅のベースを突き抜けて、ほとんどの電子はコレクタへと流れ込みます。そのためベース電流に比べて、コレクタ電流は大きな値となります。ベースから流れる微小な電流で大きな電流をコントロールする”水門とダムのような関係”と考えるといいでしょう。

また、トランジスタはベース電流を制御することで、コレクタ電流が流れる状態(ON)と流れない状態(OFF)をつくることができます。これをスイッチング作用といい、ON-OFFでデジタル信号をつくりだすことができます。2信号で制御をおこなう電気回路を論理回路といい、あらゆる電化製品で用いられています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました