物理 原子6 水素原子のスペクトル

ふぃじっくす

どうも、やまとです。

陰極線の実験から負の電気量を持つ電子が発見され、比電荷の測定などから、すべての元素の原子は電子を持つと考えられました。

では原子はどのような構造をしているのでしょうか。

原子は電気的に中性なので、負電荷の電子と打消しあうだけの正電荷を持っている部分があるはずです。

比電荷の実験をしたトムソンは、正電荷の中に電子が散りばめられている原子を考えました(ブドウパンモデル)。それに対して長岡半太郎は原子の中央に正電荷を帯びた電子がリング状に回っている原子モデルを発表しました(土星の環モデル)。

1911年にラザフォードの研究室では、高速のアルファ粒子を薄い金箔に当てる散乱実験を行いました(左図)。トムソンや長岡の原子モデルでは正電荷の分布が広く、アルファ粒子は小さな角度だけ偏向するはずです。

実験ではアルファ粒子はほぼ直進するにもかかわらず、8000個に1個ほどのアルファ粒子は90°以上の大きな角度で偏向される(右図)という結果が得られました。

正に帯電したアルファ粒子(ヘリウム原子核)が十分に核に接近したとき、大きな偏向を起こすような強い斥力を受けることから、原子の狭い部分に正電荷が集中している領域、”原子核”があるという結論に達しました。

この実験結果における原子核の大きさは10の-14乗程度であり、原子全体の大きさは10の-10乗程となります。これが化学の教科書にもでてくる、ラザフォードの原子模型です。

光を波長によって分けたものを”スペクトル”といい、一般に高温の固体や液体が出す光は、波長が広い範囲で分布した連続スペクトルを示します。一方、高温の気体が出す光は、いくつかの輝線が飛び飛びに分布する線スペクトルを示します。

線スペクトルは気体原子が発する光で、その波長は元素の種類によって決まっているので、スペクトル解析をすることで原子の種類を特定することができます。

スイスの中学校の先生であったバルマーは水素原子の4本のスペクトルを分析し、上の式で表されるような規則性を発見しました。 のちに紫外線の領域でも輝線が発見されましたが、この一連の輝線群をバルマー系列といいます。そのほかの波長領域でも同じような輝線群が発見され、ライマン系列、パッシェン系列、ブラケット系列など、発見者の名前がついています。

スペクトルについての復習

バルマーが測定した4本の輝線群は可視光と紫外線の領域、ライマン系列は紫外線の領域、パッシェン系列は赤外線の領域の輝線群です。波長の単位としてÅ(オングストローム)を使っていますが、これは10の-10乗メートルの長さの単位です。少し古い本には出てくるので知っておくといいでしょう。

それぞれの系列に対応するn’と、輝線に対応するnという量を定めます。すると、すべての系列は次の式の形で表されます。

この式を水素原子のスペクトルについてのリュードベリの式といいます。(他の原子については、原子ごとの線スペクトルの系列によって、近似的に一定の値をとる定数を挿入します)

さて、多くの研究者によって原子について大きく理解が深まっていきましたが、ラザフォードの原子模型には大きな欠点がありました。次回は、それを解決するボーア理論について学んでいきましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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