物理 原子5 ド・ブロイ波

ふぃじっくす

どうも、やまとです。

光やX線は波動性を持つと同時に、光電効果やコンプトン効果のような粒子性を示し、光子やX線光子として振る舞うことがわかりました。では逆に、粒子として振る舞っていたものに波動性があるのではないかと考えるのは自然な流れです。

フランスのド・ブロイは光量子説とは逆に、すべての物質は波動性を持つと考えました。すなわち、波動の特徴である波長と、粒子の特徴である運動量をプランク定数を介して、上の式のようにまとめました。これをド・ブロイ波長といいます。

この式は光子の運動量をp=E/c、波長をλ=c/fとした、アインシュタインの式の一般化です。

電磁波としての光が、光子という粒子として振る舞うときには運動量pを持ちます。逆に粒子としての電子が、電子波という波動として振る舞うときには波長λを持ちます。このド・ブロイ式は必ず覚えましょう!

電子を50V程度の電圧で加速するときの波長を計算すると、およそX線と同程度となります。したがって、X線回折と同じように結晶に電子線を当てることで回折・干渉が起こりラウエ斑点を観測ことができます。

また、対称的な電場を発生させた装置に電子線を当てると、光波の干渉縞と同じような模様ができます。

古典力学では、粒子は常に定まった位置と運動量の組を持ちます。しかし、量子力学では粒子は決まった物理量を持たず、観測するたびにある確率分布に従ってランダムに測定結果が決まります。これをハイゼンベルクの不確定性原理といいます。簡単に言うと、粒子性と波動性は同時に観測できませんよ、ということです。

名古屋大学の小澤正直先生はハイゼンベルクの式に補正項をつけて、量子に対する制度の良い測定が可能であることを示しました。このように原子物理の世界では、日本の研究者の方が活躍されています。

では、電子線回折の練習問題です。電子の運動量と波長の表現に注意し、ブラッグの式を立てて干渉条件をつくります。

(1) まず力学で学んだ運動エネルギーの式を運動量で表します。運動量はp=mvですから、とにかくmvの形をつくるのです。つまり、「mで割ってmを掛ける」と「mvの2乗」の項ができますね!

(2) ド・ブロイの式から(1)のpを使ってλを求めることができます。

ブラッグの式は、電子線の干渉条件です。経路差2dsinθの中に波長の整数倍の電子線が入っていれば強めあいの条件になります。問題文からθ0のときが初めての極大ですからm=1です。

(2)の結果を代入して、Eについてまとめます。原子の分野ではどうしても式の形が複雑になりがちなので、問題演習を積んで慣れていきましょう。

次回から最後の単元、「原子と原子核」についてお話ししていきます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. […] 物理 原子1 トムソンの実験どうも、やまとです。いよいよ高校物理の最後の単元、原子分野を学んでいきます。ここまでに学んだ力学・熱力学・波動・電磁気学の知識を総動員して理解していきましょう。まずは電磁気では当たり前のように扱ってきた、電子の発見についてです。ドイツのガ…ochadoko-yamatoya.com2020.04.05 物理 原子2 ミリカンの実験どうも、やまとです。トムソンの実験では電子の比電荷を求めることができましたが、電子の電荷や質量を個別に求めることはできませんでした。電子の電荷を求める実験は、アメリカのミリカンによって行われました。図のように、一様な電場中…ochadoko-yamatoya.com2020.04.11 物理 原子3 光電効果どうも、やまとです。これまで学んだように、光を含めた電磁波は、電場と磁場が互いに垂直に振動を繰り返す波動です。しかし、歴史的には光を粒子として考える派閥もあり、物理界の大権威であったニュートンが筆頭でした。そして後に光を波動として考えると…ochadoko-yamatoya.com2020.04.19 物理 原子4 X線の波動性と粒子性どうも、やまとです。前回は、光の粒子性を示す「光電効果」について学びました。ここでは、様々な分野で利用されているX線について見ていきましょう。X線はドイツのレントゲンが発見しました。レントゲンが撮影した、指輪のついた手のX…ochadoko-yamatoya.com2020.04.26 物理 原子5 ド・ブロイ波どうも、やまとです。光やX線は波動性を持つ… […]

タイトルとURLをコピーしました