どうも、やまとです。
これまで学んだように、光を含めた電磁波は、電場と磁場が互いに垂直に振動を繰り返す波動です。しかし、歴史的には光を粒子として考える派閥もあり、物理界の大権威であったニュートンが筆頭でした。そして後に光を波動として考えると理解できない現象が発見されました。

プランクは温度の高い物体が発する光の強さと振動数の関係を説明するために、振動子のとりえるエネルギーは不連続であり、hνの整数倍の状態しかとれないというプランクの量子仮説を提唱しました(参考:電磁気21電磁波)。
その後、アインシュタインは光は光子(光量子)という粒子の集まりの流れであり、振動数ν(ニュー)の光子1個は次の式で表されるエネルギーを持つことを提唱しました。これがアインシュタインの光量子仮説です。

光子のエネルギーと運動量はこのように表されます。日常生活では波動性が観測されることが多いので、古典力学とはまったく異なる考えをしなければなりません。光は質量がないですからね。
この式は、まずは覚えておきましょう。また別の項で詳しく説明したいと思います。波の基本式から書き換えをして、波長で表すことも多いです。光子の運動量はエネルギーを光速cで割ったものです。

光が粒子として振る舞う現象として、光電効果があります。アインシュタインはこの研究でノーベル賞を受賞しました。簡単に言うと、金属に光を当てると、電子が飛び出すという現象です。飛び出した電子のことを、光電子といいます。
①K0は飛び出した電子の最大運動エネルギーです。これは振動数が大きいほど大きくなります。
②振動数が一定で光を強く(振幅を大きく)していっても、光電子の数は増えますが、K0は変わりません。
③当てる光の振動数がある値ν0よりも小さいと、強い光でも光電子は出てきません。大きければ弱い光でも出てきます。
これらの特徴は、波動では説明がつきません。したがって
④光を粒子ととらえて、光子と光電子の1対1の衝突の結果、電子が金属から飛び出すと考えるのです。

光子が持っているエネルギーhνと光電子の最大運動エネルギーについてのエネルギー保存則を光電方程式といいます。Wは仕事関数といい、電子を金属から飛び出させるために必要な最小のエネルギーで、金属によって決まった値を持っています。
電子が金属表面まできて飛び出せないときK0=0です。この時の振動数を限界振動数といいます。K0とνのグラフは図のようになり、プランク定数を傾きとした直線になります。限界振動数は金属によって異なり、たとえばナトリウムは5.6×10の14乗Hz、銅は11.1×10の14乗Hzです。
例題でもう一度流れをおさらいしましょう。

(1)光子のエネルギーはプランク定数と振動数で表されます。これは覚えましょう。
(2)光電方程式はエネルギー保存則です。光子のエネルギーが光電子を金属表面まで持ち上げるための仕事関数と金属から飛び出すための最大運動エネルギーに分配されます。限界振動数は光電子が飛び出さないときですから、K0=0のときです。

(3)限界振動数よりも大きい振動数の光を当てると、電子が金属を飛び出します。その最大運動エネルギーは光がもっていたエネルギーから仕事関数を引いたものですね!
(4)これをグラフにするとK切片がーW、傾きがhの直線になります。ν切片は限界振動数ν0です。Kは負の値をとらないので点線にしておきましょう。

(5)は阻止電圧を求めます。左の図は陽極が陰極よりも電位が高い場合です。右向きの電場から電子は左向きに力を受けるので、電子は加速しながら陽極に向かっていきます。
この問いでは陽極を低電位にしているので左向きの電場が生じています(右図)。すると電子は右向きの力を受けて減速します。下の図は陰極から飛び出した後のイメージ図です。したがってエネルギー保存則から、電子の最大運動エネルギーは陽極にぎりぎりたどり着かないときは電位が(-e)(-V0)になります。
(6)光電方程式にWとK0を代入して、hについて解くとプランク定数を定めることができます。プランク定数は約6.63×10の-34乗という値です。覚えておくといいでしょう。

(7)光電効果のI-Vグラフは、特徴的な図になるのでしっかりポイントを押さえておきましょう。
(a) (ア)の点は(5)で考えた阻止電圧です。この電圧ではすべての光電子は、クーロン力によって陰極に引き戻されて陽極にたどり着けません。
(b) (イ)の点は電圧が0ですが、抵抗となるクーロン力も働かないため、陽極にたどり着く光電子も存在します。
(c) (ウ)の領域では電圧を上げても、電流の値は一定となります。光子数が一定であれば、飛び出す光電子の数もそれに1対1の対応をするためです。すなわち、ある電圧からは飛び出した光電子がすべて陽極にたどり着き、電流は上昇しなくなります。

プランク定数は10の-34乗というオーダー(桁)の定数です。したがって光子1個のエネルギーは、振動数が10の14乗程度だったとしてもジュール単位のエネルギーは小さな値になってしまいます。
そのためエネルギーの単位として、電子1個(1.60×10-19乗C)が1Vの電圧で加速されたときのエネルギーを、そのまま単位として定義することにします。これが電子ボルト(エレクトロンボルト)です。
実験で出てくる電子の個数は非常に多いですし、電圧も高電圧です。したがってMeV(メガエレクトロンボルト)、GeV(ギガエレクトロンボルト)などの接頭辞をつけて表すことがあります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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