物理 原子2 ミリカンの実験

ふぃじっくす

どうも、やまとです。

トムソンの実験では電子の比電荷を求めることができましたが、電子の電荷や質量を個別に求めることはできませんでした。電子の電荷を求める実験は、アメリカのミリカンによって行われました。

図のように、一様な電場中に油滴を吹き込み、油滴周辺の空気分子にX線を照射しイオンにします。このイオンが油滴に付着しすると帯電し、電場から静電気力を受けます。

油滴が浮かんだまま静止するように電場の強さを調整すると重力と静電気力の力のつりあいの式が得られます。その後、電場を0とすると油滴は空気抵抗を受けながら落下し、終端速度になると等速で落下するので重力と空気抵抗の力のつりあいの式が得られます。

油滴の質量は測れないので、2式から油滴の電気量を電場の大きさと空気抵抗で表します。この実験を繰り返し、qを求めると常にある値の整数倍に近くなることが分かりました。これを電気素量といいます。

具体的な数値の例題を見てみましょう。簡単のために5つの実験値で計算します。値の小さい方から並べ、隣り合うものの差をとります。すると1.6に近い値が3つ出てきました。これが電子1個の電荷eとすれば、それぞれのqの値はeがn個ついたものであるといえます。

そこで測定値をすべて足して全電子の個数で割ると、電気素量を求めることができます。

トムソンの実験の比電荷の値、ミリカンの実験での電気素量の値から、電子の質量を求めることができます。

ではトムソンの実験とミリカンの実験の練習問題を見てみましょう。

トムソンの実験で電場のみを加えた場合です。電場から出たところのtanθを求めるところまでです。電子にはたらく重力は無視しています。

電場内のx方向は等速直線運動、+y方向にはクーロン力を受けて等加速度運動です。 tanθは電場の出口でのx方向とy方向の速度成分から求めることができますね。

同様に磁場のみを加えた場合は磁場内でローレンツ力を受けて等速円運動をします。 磁場から出たところのtanθを求めるところまでです。

運動方程式から円運動の半径を求め、三角形PQRに三平方の定理を適用します。あとは問題の誘導にあるように近似を使えば、yとtanθを求められます。

本当はこのあと蛍光面に電子があたるところまでを求めて、比電荷を導出することになりますがそこは割愛します。やっていることは、力学の問題を解いていることと変わりありませんね。だから力学は最も重要な分野なのです!

最後にミリカンの実験の練習問題です。本文の説明とは異なり、等速での落下中と上昇中について考えます。空気抵抗も油滴の半径と速さの積で表されることに注意しましょう。

等速で運動することから、力のつりあいの式を立てていきます。2式から重力を消去すると電気量を計算することができます。

多くの工夫によって、電子の物性に迫ることができました。次回からはこれまで学んだ知識だけでは理解が難しい、不思議な現象の数々を見ていきましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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