1999年度京都大学の波動です。前半では屈折の法則とホイヘンスの原理を用いて風速を求め、後半では全反射について考察します。風が吹いている場合のホイヘンスの原理は、あまり触れたことがないと思います。作図を丁寧に行い、長さの関係を導きましょう。



注意するのは
・大気が3層に分かれ、それぞれ音速が異なる。3層目には風が吹いている。
ということです。
前半は問題の誘導に素直に乗っていけばいいでしょう。
後半は各境界面で全反射が起こる条件を考えます。前半で導いた式をうまく利用しながら、答えていきましょう。

ホイヘンスの原理による屈折の法則の導出では、共通する斜辺を持つ直角三角形を見つけ、長さの関係の式を立てます。辺々を割り、不要な文字を消去するとsinと速さの式が得られます。
また振動数が屈折によって変化しないことから波の基本式を考えると、波長の関係も得られます。



(1)は屈折の法則をそのまま適用します。
(2)は風によって波面がずれた距離、(3)、(4)は波面が進んだ距離を波が等速で伝わるということから計算します。
(5)は以上の結果を使って、風速wを求めます。誘導に従っていけば難しくないでしょう。


Pからθ3の角度で進み、SRの延長線とぶつかる点をR’とします。θ3方向の速さをVとするとPR’はVtで表されます(水色)。
また紫の三角形でSR’を表すとPSsinθ3です。PSは(5)で考えたオレンジの三角形です。さらに①式と組み合わせると、Vが求まります。
(7)は反射の法則ですね。


(8)ある入射角θ1cで屈折角が90°になり、この入射角(臨界角)以上であればすべて反射されるのが全反射です。(1)の結果に入射角θ1c、屈折角に90°を当てはめましょう。θ1cは90°よりも小さな角度ですからsinθ1cは1よりも小さく、v1、v2の条件ができます。
(9)屈折角が入射角より大きくなるには、屈折側の音速が速い必要があります。音速は温度に依存する量ですから、境界面ⅠとⅡの間の層はⅠ以下の層の気温よりも高くなければなりません。


(10)は(8)と同様に入射角θ2Cで全反射するとします。①式を使うとsinθ2cはv2、v3、wで表せます。


(11)境界面Ⅰでの屈折の法則から入射角θC、屈折角θBとしますsinθBは②式を代入して計算します。
(12)境界面Ⅱで全反射するためにはθ2>θBである必要があります。境界面Ⅰでの屈折の法則からsinθ1を表し、(11)の途中計算を利用するとsinθCとの関係が導けます。
全反射の問題は角度の大小関係がややこしくなりがちです。基本に立ち返りながら、ひとつひとつの条件を考えて問題を進めていきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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