九州工業大学の熱力学です。気体分子運動論の問題は直方体容器を基本として、球形容器などがありますが、この問題では円筒形容器であることに注意です。丁寧に誘導されていますから、それにしっかり乗りましょう。



Ⅰでは容器の上面と下面を考えています。z方向だけに着目することで、これは直方体容器を考えることと同じです。
Ⅱでは側面を考えています。側面は円形なので、これは球形容器を考えることと同じです。
Ⅲで上面と側面が受ける圧力が等しくなることを示し、Ⅳで分子の平均運動エネルギーを求めます。
円筒容器を扱ったことがなくても、やるべきことは直方体や球と同様です。


運動量と力積の関係は非常に重要です。粒子と壁が受ける力積は大きさが等しく向きが逆になります。
理論上の状態方程式から平均運動エネルギー、そして内部エネルギーの導出は、慣れていないと手が動かないかもしれません。気体分子運動論の問題を、いくつか解いて慣れておきましょう。



(1) 内壁がなめらかなので、x・y成分は変化しません。z方向は弾性衝突をするので速度が逆向きになります。
(2) (1)から運動量が変化するのはz方向のみです。運動量と力積の関係から分子が受ける力積を求め、作用・反作用の法則から壁が受ける力積もわかります。
(3) 1往復2Lの距離をvzで時間tかけて移動します。
(4) (3)の時間が衝突の周期なので、単位時間当たりの衝突回数はその逆数をとります。
(5) 力積の定義から、平均の力を求めます。
(6) (5)は分子1個あたりの力なので、分子N個について考えます。
(7) 上面は円であることに注意して、圧力の定義から求めます。



(8) 図から衝突前の壁に垂直な成分がわかります。
(9) (2)と同様に考えます。
(10) 図より壁の衝突から次の衝突までの距離が求まります。
(11) (3)、(4)と同様に考えます。
(12) 力積の定義から、平均の力を求めます。
(13) 分子N個について考えます。
(14) 側壁の面積は円周×高さであることに注意して、圧力の定義から求めます。


(15)、(16) 3次元の3平方の定理と等方性からvhとvz の2乗平均速度を求めます。
(17) (7)と(14)の結果に(15)、(16)の結果を代入すると、pzとphが同じ形だということがわかります。


(18) pzを式変形して、運動エネルギーの形を作ります。
(19) 理想気体の状態方程式を作ります。物質量は与えられていないので、分子の数Nとアボガドロ数NAで表します。
(20) (18)、(19)から気体分子の平均運動エネルギーを求めます。気体定数とアボガドロ数の比がボルツマン定数です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
コメント