2012年度東京工業大学の電磁気です。コンデンサーと単振動の融合問題は、難関大学でよく出題されます。単振動はどのような力がはたらいているかが重要です。


問題の設定は
・面積S、極板間距離dのコンデンサーのAからxの位置に金属板をおく。
・金属板に電気量+Qを帯電させる。
・問4で金属板をΔxだけ変位させて、静電エネルギーの変化を考える。
前半Ⅰはコンデンサーの基本事項です。静電エネルギーの変化は後半につながります。よく確認しておきましょう。
後半Ⅱは金属板にばねをつけて、単振動をさせます。
・問5ではx=d/4だけ移動させてはなす。難問ですが、力学で学んだことを活かして解いていきましょう。
・問6では振動電流の最大値を求めます。電流の定義式が与えられているので、電気量の変化を考えます。


コンデンサーの極板間引力は間違えやすいので気を付けましょう。Qが帯電した極板にはたらくのはF=QEではありません。
上記のように、仕事とエネルギーの関係から極板間引力を求めると1/2QEとなります。この導出そのものが問題となることも多いですから、しっかり押さえておきましょう。


金属板Pで分けられた2つのコンデンサーが、直列に接続されています。計算すると、面積S、極板間距離dのコンデンサーの静電容量と同じになりますね。
つまり、厚さの無視できるPの影響はないということになります。


図のように電荷を仮に置いてみます。Pには正電荷を与えていますが、求めるA・Bの電荷を正としておくと符号も含めて求めることができます。
APとBPは並列になっていることに注意すると、電圧が等しいことと電気量保存から各極板の帯電量を求めることができます。


それぞれの静電エネルギーを求めて、和をとります。ここまでは流れるように解き進めていきたいですね。


問3の結果から、静電エネルギーUはxの関数として表されるので、Δxだけ移動したときのUを求めましょう。問題で与えられた近似を利用して、式を簡単にします。静電エネルギーの変化を求めると、Δxの項が残ります。
微小変位の間の力は一定であることから、仕事とエネルギーの関係を使うとPをΔxだけ変位させたときの外力が分かります。Pにはたらく力はこの外力とつりあう力として求めることができます。


単振動をするためには復元力(F=ーkx)が必要です。まずxの位置における弾性力と静電気力は上のようになります。静電気力はーと1/2を( )の中に入れて、(x-d/2)の形でそろえておきます。運動方程式を立てると、ma=ーKXの形になっていることがわかります。
Pが単振動をするためにはK>0であればよいので、ここからQの条件を導きます。また、単振動の加速度はa=ーω^2xなので、係数を比較してωを求めます。


問2の結果から、Aから移動した電荷を求めます。電流の定義式からΔx/Δtの項が出てきますが、これはPの速度を表しています。Pは単振動をしていますから、Pの速度が最大になるときが電流の最大値です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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