大学入試演習 電磁気3 極板間への誘電体の挿入

ふぃじっくす

2003年度、東北大学の電磁気です。コンデンサーの問題は入試でも最頻出の問題です。誘電体を挿入する場合、計算力も必要になります。

問題の設定は
・平行板コンデンサーに誘電体を差し込み、起電力Vの電池とつなぐ。
・極板は一辺の長さがlの正方形、極板間隔はd
問1 誘電体をぴったり入れた状態で充電
問2 誘電体をxだけずらした位置で充電
問3(1) x=0に戻してからスイッチを開き、誘電体をx=Δの位置にずらす
(2)、(3) 誘電体を静かに放したときの運動

どの量が変化し、どの量が一定であるかなどに着目しながら考えていきましょう。

コンデンサーの復習

電気容量は面積が大きいほど、極板間隔が小さいほど大きくなります。しかしそれでは、たくさんの電気を蓄えるためには大きなコンデンサーになってしまうので、誘電率の大きい物体を挿入することで電気容量を大きくするのです。

このとき、誘電体の入っている部分と入っていない部分に分けて、直列接続・並列接続を考えると、問題が解きやすくなります。

問1は基準の状態の確認です。電位差の式、静電容量の式、コンデンサーの式を確認しましょう。

問題文には電場→電気量→電気容量の順に書いてあるので、ガウスの法則から電気量を求めて、そこから電気容量を求めることを想定しているかもしれません。

コンデンサーの左端をxとしているので、x=l、またはx=-lのときは誘電体が入っていない状態のことです。xが負の時のことも考慮する必要があるので、絶対値で表現しておきましょう。

誘電体が入っている部分と入っていない部分に分けると、並列接続と考えることができます。コンデンサーの並列接続は、和をとるのでしたね。スイッチは閉じたままですから、電位差Vがかかったままです。

重要な別解として、スイッチを閉じたままで極板間隔が変化していないので、電場が問1と変わらないということがわかります。

ここから蓄えられる電気量と電気容量を求めることができます。

x=0に戻してVで充電しますので、初めの状態に戻ります。スイッチを切ると電気量が一定となりますから、静電エネルギーは(Q^2)/2Cを使います。

誘電体をx=Δに移動させると電気容量が変化しますから、それによって静電エネルギーも変化します。その変化量のグラフを求める問題です。

ここは計算力が必要になりますね。通分に気を付けて計算を進めると、Δ=0のときはΔU=0であり、ε1>ε2の条件からΔ≠0のときはΔU>0であることがわかります。これを満たすグラフは④のグラフです。これは、誘電体を移動させるときに外力がする仕事分のエネルギーを蓄えたということになります。

静電エネルギーの復習

(2)誘電体から手を離すと、誘電体は安定した状態に戻ろうとします。つまり、エネルギーが減少する方向の力を受けるということです。ただし、摩擦がなく、空気の抵抗も無視できるとあるので、エネルギー保存則が成り立ち、結果として誘電体はコンデンサー内部で振動運動をすることになります。

(3)静電エネルギーが最小となるx=0の点で、運動エネルギーは最大となります。エネルギー保存の式を立てて、速さvを求めましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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