大学入試演習 電磁気2 ガウスの法則と電場

ふぃじっくす

お茶の水女子大学の電磁気です。ガウスの法則は苦手な人も多いですが、電荷分布による電場を理解するのに非常に役立ちます。教科書でも、「ガウスの法則」という名称を強調していなかったりするので、ナニコレ…となる人もいるかもしれませんが、重要な法則です。

初めに電気力線の説明をしてくれています。
問題の設定は
問1 単位体積当たりの電気量がρで一定となるように電荷が分布
問2 同じ電荷密度の球殻の場合
問3 問2の球殻の中に問1の球をはめる
問4 問3の球の中心にトンネルを掘り、負電荷を静かに放す

このように進んでいきます。電気量を電荷密度と体積で表現するのがポイントですね。このような問題は万有引力のところでも出題されることがあります。

問題文でも書かれていますが、もう一度電気力線についてまとめておきます。電気力線はファラデーが考案し、目に見えない電磁気の現象を可視化した重要な概念です。

ある面積を貫く電気力線の本数を数えることが、その場所での電場を求めることにつながるのがガウスの法則です。左辺は電気力線で定義したことですが、右辺は点電荷まわりの電場から求めることができます(上では逆に、ガウスの法則から点電荷周りの電場を求めています)。

ガウスの法則の復習

(1) 正電荷が帯電しているので、球の外側では電気力線は球の表面から垂直に湧き出て、放射状に広がるので図のようになります(実際にはウニのとげのように3次元的です)。

(2) 与えられているのは単位体積あたりの電気量(電荷密度)なので、球の体積をかけて電気量を求めます。Q〔C〕から湧き出る電気力線の本数は、4πkQ〔本〕です。

電場の強さがEの場所には1㎡あたりにE本の電気力線が貫いています。これと(2)の結果を合わせると”ガウスの法則”が作れます。したがって、球の外側の電場の強さは上のようになります。

(1) 電気力線は交わらないので、球殻の内側には出ていきません。したがって、外側表面から垂直に放射状に湧き出ます。

(2) 電気力線が通らないところには電場はないので、球殻内部の電場は0です。外部では球殻に帯電している電気量の総和を考えればいいので、半径R’の球からのRの球の体積を引いて球殻の体積を求めます。

球内部の正電荷からは外向きの電気力線しかでません。したがって、半径Rの内側にある電荷だけを考えればいいので、問1(2)の電気量でガウスの法則を立てます。

この結果から、球内部の電場はRに比例することがわかります。

球の中心を原点としたx軸を考えると、球内部ではxに比例した電場が生じているので、負電荷には球の中心方向の力がはたらきます。つまり、この負電荷にはたらくのは”復元力”ですから、電荷は単振動をすることがわかります。

具体的に求めるものを指定されていませんが、単振動の説明をするときには周期を導出しておけばいいでしょう。運動方程式から角振動数ωを求め、周期を計算すると上のようになります。

最後にこの問題のポイントをまとめておきます(定数は誘電率を使用しています)。一様な電荷密度ρで帯電した球の
・内部の電場は閉局面の半径に比例
・外部の電場は閉局面の半径の2乗に反比例
・球表面の電場は一致

この問題はグラフの作図を含めて、慶應大学で出題されたこともあります。電気力線の性質、ガウスの法則の使い方、電場について理解が深まる問題です。しっかり復習しましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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