2003年度、千葉大学の電磁気です。電場や電位については、電磁気学の一番の基本ですから、確実に押さえておきましょう。

問題の設定は
・x-y平面の原点Oに+qの電荷、点A(-a,0)に-4qがある
・電位の基準は無限遠
・重力は無視
問題文も設定もシンプルですね。

まずはクーロンの法則です。電荷の間にはたらく力を記述しますが、向きは電荷の正負の組み合わせで考える方がいいでしょう(上の式では絶対値で表現し、大きさにしています)。
「電場は+1Cの電荷が受ける力」として定義すると、クーロンの法則に1Cを代入した形になります。したがって、q〔C〕の電荷が受ける力はqEです。電場はベクトル量ですから、向きや合成には注意しましょう。
「電位は+1Cが持つ電気的な位置エネルギー」のことです。電場がrの2乗に反比例するのに対し、電位はrに反比例します。q〔C〕が持っている静電気力による位置エネルギーはqVとなります。また、電位はスカラー量ですから、Qには符号を含めて計算します。


「電場は電位の傾きである」といいますが、実際には傾きの反対の符号になります。上の図は+Qの点電荷がある空間の電位の様子を横から見たものです。x>0の領域では接線の傾きは負ですが、電場は電位の高い方から低い方に向くので正の向きですね。
一様な電場で使うV=EdのVは「電位差」を表していることにも注意しましょう。


問1はxの正の領域で電場を求めます。ある点での電場を問われたら、まずは「+1Cを置く」クセをつけましょう。するとx軸上にある点Pにはx方向にしか力ははたらきませんから、Ey=0はすぐにわかりますね。
それぞれの点電荷から受けるクーロン力の大きさを求め、それを合成するとExが求まります。原点の+qからは斥力、点Aの-4qからは引力を受けるので、その向きと符号を対応させます。通分をしてまとめておきましょう。符号と分子に着目すると0<x<aでは右向き、a<xでは左向きの電場が生じていることがわかります。


電場と同様に、それぞれの点電荷からの電位を求めます。このとき、qには符号を含めておきます。電位はスカラー量なので、そのまま和をとるとPでの電位が求まります。
通分をしてまとめましょう。0<x<a/3では正、a/3<xでは負の電位となっていることがわかります。


等電位線とは、電位の等しい場所を結んだものでした。x-y平面で電位が0のところを探しますから、任意の点を(x,y)として原点とAからの距離を表します。電位の式を立ててV=0とし、式変形をしていきます。
分母を払って両辺を2乗し、展開してまとめます。yは2次の項のみ、xは1次と2次との項があるので、平方完成をします。でてきた定数項を右辺に移項して計算すれば、これは円の式になります。
図示の問題ではないのでここまでにしますが、たとえばy=0としてxを求めると、-a/5,a/3となります。a/3は問2の分子を0としたときの解と一致しますね。


原点に近づく向き(-x方向)に力を受けるためには、電場と同じ向きに力を受けてような電荷ということです。Rの電場は-x方向ですから、点電荷Qは正電荷となります。


問1から、0<x<aでは右向きの電場が生じています。つまり電荷Qは運動を妨げる向きに力を受けます。x=aを左向きに通過してから徐々に減速し、静止したところが原点に最も近づいた点です。
また、無限遠では位置エネルギーが0、電荷Qは静かに置かれたので運動エネルギーも0です。エネルギー保存則を立てると、静電気力による位置エネルギーが0のときが原点に最も近づいた点となります。


CHECKの電場と電位の関係を思い出してください。電場は電位の傾きなので、電場が0のとき電位は極値をとります。x=aの前後で電場の向きが変わるので、この位置が電位の極小値であり、電荷の速さが最大となるところです。
電磁気の基本事項である、電場と電位についてよく学べる良問です。等電位線の図形的な説明は少し難しいですが、よく出題されるとことです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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