東京大学の力学の問題です。落体運動、衝突問題、単振動など、様々な分野の複合問題なので非常に骨太です。どのような状況になっているか確認していきましょう。



Ⅰでは階段の上方から物体Aを斜方投射させ、ばねにつながれた板と衝突しながら落下していきます。
ⅡではⅠでのばねの単振動が続いています。物体Bをあるタイミングで運動させると、物体Bは階段を上っていきます。

2つの保存則は力学の問題を解くために重要なものです。特に運動量保存則の向きに注意が必要です。
反発係数の式は運動量保存則とセットで使うことが多いです。反発係数が1のときはエネルギー保存則を使いたくなるかもしれませんが、計算が簡単になるので反発係数の式を使えるようにしましょう。
単振動の周期は覚えておくにこしたことはないですが、常にこの流れで導出ができると安心です。


運動量保存則と反発係数の式を使って、物体Aの衝突後の速度v1を求めます。


物体Aが板の中心と次々と衝突するためには、同じ状況が再現される必要があります。鉛直方向には衝突直後はv1、衝突直前は-vで運動しています。力学的エネルギー保存則を使ってvを求めましょう。
次の衝突までの時間は鉛直投げ上げの式から求められますね。


水平方向には等速直線運動をしています。 問2で求めた時間を使ってuをもとめましょう。


問1の運動量保存則と反発係数の式からVを求めます。問2の結果も使って、運動エネルギーを求めます。


単振動の周期T0はこのようにして、運動方程式から角速度を求め、周期と角速度の関係から求めます。
振幅は力学的エネルギー保存則から求めます。この式は、いわゆる単振動のエネルギーで、重力による位置エネルギーが含まれた形です。


問題文にあるように、板の振動の位相はどの衝突についても等しいことから、衝突の間隔は飛び飛びの値をとります。
板の振動周期T0の整数倍が、衝突周期と1段上の板の振動時間の和に等しいことから衝突周期を求めます。


n回目の衝突直後の物体Bと板の速度をv2、V2とします。衝突直前の速度は常にv0、V0です。運動量保存則と反発係数の式からV2を消去し、等加速度運動の式からv0、v2を指定された文字で表します。
計算が少し大変ですが、ここからV0を求めます。MとmB、v0とv2が+とーが反転していて同じ形であることから工夫します。 (A+B)(C+D)+(A-B)(C-D)という形ですね。


水平方向には等速直線運動をしているので、鉛直方向の速度成分で力学的エネルギー保存則を考えます。
物体Bが得たエネルギーは重力による位置エネルギー分だということがわかりますね。


板のもつ運動エネルギーとBに与えることによって失うエネルギーを比較します。問4と問8で、どちらもmghの形で表されているので比較しやすいですね。
mB>mAのときは失うエネルギーの方が大きくなり、Bが得るΔKを確保することができないため、図2のような運動は起こらないことがわかります。
Ⅱの問題は、難易度が高いですが、このような複合問題にも対応できるように、各分野の力をじっくりつけていきたいですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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