名古屋工業大学の力学です。おもりが振り子運動をしながら、支点の台車はレール上を動くタイプです。一見複雑な運動は重心の運動に着目することで考えやすくなります。




Ⅰでは支点を固定して、おもりの最下点での速度を求めます。
Ⅱでは支点をx方向に動くようにします。おもりの最下点Qでの座標を求めます。
ⅢではQに小物体をおき、おもりと衝突させます。衝突後におもりが静止するということから、小物体の質量を求めます。
Ⅳではおもりの速度が0になったあとの運動についてです。エネルギー保存則からおもりが達する最高点の高さを求めます。

水平方向に外力が働いていないときは、運動量保存則が使えます。この問題では全体を通して、このことを利用していきます。またそこから得られる重要な事実として、「重心の位置は水平方向に変化しない」ことが、問題文で与えられています。
この問題と直接関係ありませんが、重心の位置が移動していくときには「重心速度」を考えることもあります。難関大学では頻出ですので合わせて確認しておきましょう。


台車が固定されているので、力学的エネルギー保存則から最下点の速さを求めます。


台車を動くようにすると、水平方向の運動量保存則を考えます。おもりは右向きに運動するので、明らかに台車は左向き(負の向き)に運動します。Vの向きはすべて右向きを正としましょう。
力学的エネルギーは保存しているので、V2を代入してV1を求めます。


問題文にある通り、おもりと台車の重心位置のx座標は変化しません。重心の位置を問われたら、力のモーメントのつりあいの式を考えましょう。
初めの台車の位置が原点ですから、重心位置は負の座標ということに注意です。


点Qに小物体をおいて、おもりと衝突させます。運動量保存則とエネルギー保存則は成り立っています。問2と同様に考えて立式しましょう。


まず台車について考えると、速度の変化がないことがわかります。したがって、おもりと小物体について考えます。
衝突直後におもりの速度は0になっているので、速度の交換が起こっています。つまり、おもりと小物体の質量は同じです。


問題文にあるように、おもりが最高点に達するとき、おもりと台車の速度のx成分は等しくなります。そこから運動量保存則を立て、V2は問2で求めた値を代入します。


衝突前後の運動エネルギーはV2でそろえると計算しやすくなります。終わりから初めを引くと、運動エネルギーの変化が計算できます。計算すると、負の値が出てきます。
この運動エネルギーの減少分は、おもりの位置エネルギーの増加に変換されています。このことから、おもりが達する最高点の高さを求めることができます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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