2004年度、東京大学の問題です。斜面をすべる三角台とその台上を動く物体の運動です。複数の物体が別の運動をする題材は頻出です。




問題の設定は
・質量Mの三角台Aの右端に質量mの小物体Bを置き、左向きのFの力で支える。
Ⅰ AとBの摩擦なし Fをなくした後の運動について
Ⅱ 点Pまで、AとBの摩擦あり
問4 AとBが一体となって動くとき
問5 静止摩擦係数の決定
問6 AとBが別の運動をするときのBの軌跡
問6はグラフの選択ですが、なかなか難しいですね!

力学ではどんな問題でも、まずは物体にはたらく力を書き込み、運動方程式を考えましょう。特に加速度が0の場合は、力のつりあいの式を立ててもいいでしょう。
また、問題文から条件が足りないと思ったときには、束縛条件を考える必要があります。力学2の問題でも触れたように、変位、速度、加速度について、図から得られる条件の式を立てることができます。

問1では物体は静止しているので、力のつりあいの式を立てます。解答では別個に立てましたが、Bの垂直抗力を求める必要はないので、 A、Bを合わせてもいいでしょう。
物体にはたらく力は、①重力、②接触力をもれなく描きます。Aにはたらく斜面からの垂直抗力を忘れないように。
問2ではFをなくして、Aが斜面をすべります。このとき、Bには水平方向の力がないので、鉛直真下に移動します。Aは直角二等辺三角形なので、Bが左端に達するまで(A上をdだけ動く間)に鉛直方向にdだけ動いています。

BがAの左端に達する直前の速さをV、vとし、そのときの高さを位置エネルギーの基準としましょう。すると力学的エネルギー保存則の式は上のようになります。
ここで速さについての束縛条件から、AとBの鉛直成分が等しく、Aの斜面に沿った速さとの関係はV=√2vとなりますね。これを用いてvについて解きましょう。

問4ではA、Bは一体となって動くので、2つを合わせた運動方程式を立てるのが楽ですね。ここでは加速度についての束縛条件から、x、y方向の加速度成分を求めることができます。

すべり出す直前の摩擦力は最大摩擦力になっています。Bの運動方程式をx、y方向それぞれについて立て、問4の結果を使うと垂直抗力R’が求まり、x方向の式から静止摩擦係数が求まります。

Bが摩擦のある区間を動くときは、x、y方向ともに加速度運動をしています。したがってBの軌跡は直線となります。
その後、摩擦の内面を動くときにはx方向については等速、y方向については等加速度で運動するので、斜め下の斜方投射の軌跡を描きます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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